数学I / 実数と1次不等式

距離を縮める分数の不等式

最難関編不等式の証明関数の単調性

問題

実数 について、次の不等式が成り立つことを示せ。

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3つの項がすべて同じ形 — この関数の増減はどうなっているか( と変形すると見える)。増加なら、中身の三角不等式がそのまま外側に伝わる。仕上げは分数の分母の大小比較。

解答・解説

方針

共通の形 f(t)=t/(1+t) に注目する。f は t≥0 で増加(f(t)=1−1/(1+t) と見れば明らか)だから、三角不等式 |a+b|≤|a|+|b| がそのまま f の世界に持ち込める。最後は分子を分けて、それぞれの分母を小さいものに取り替える。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 3つの項が、すべて の形をしている。なら、関数 の性質で攻めるのが筋だ。

と変形すると、 で増加なのが一目で分かる。増加関数は不等式を保存する。だから三角不等式 に通して

まで一気に進める。

残るは を2項に分ける仕事だ。分子を分けて、分母を小さいものに取り替える(分数は分母が小さいほど大きい)。それだけでよい。

重要 で増加。増加関数は不等式を保存する。分数は分母を小さくすると大きくなる

の増加性。 なら だから

tyOy=111(1, 1/2)
f(t)=t/(1+t) は増加して1に近づく(届かない)。どんな t も1未満に縮める変換。増加だから、中身の大小(三角不等式)がそのまま外側に伝わる

② 三角不等式を通す。 と①より

③ 2項に分けて分母を取り替える。

各項の分母 を、それぞれ小さい に取り替えた。②と③をつなげて、示すべき不等式を得る。

まとめ: 「同じ形の項 → 関数として抽象化 → 単調性で中身の不等式を外へ運ぶ」。不等式証明の上級の型だ。この は「距離を1未満に押し縮める」変換として知られ、本問は、その縮めた距離でも三角不等式が保たれることの証明になっている。

証明( の増加性で 、あとは分母を大きくして分割)

別解

通分して、差を恒等式で見る(得意な人向け)。 とおく。核心は次の恒等式だ:

右辺は、左辺を通分して整理すれば出る。分子に がくくり出せるのがポイントだ。 では右辺は0以上。よって

最後の不等号は、三角不等式と の増加性による。

この道の収穫は、等号の完全な特定だ。恒等式の分子 が0になるのは、 または のときだけ。つまり、もとの不等式の等号は または のときに限る。分母の取り替えでは見えにくい等号の姿が、恒等式にははっきり写っている。

ポイント

  • は増加 — 三角不等式が を通る。
  • 分子を分けて分母を小さく取り替える。
  • の完成。

よくある間違い

  • いきなり全体を通分して、4次の式の海で溺れる。共通の形 の単調性に気づけば3行で終わる。
  • の増加を「分子も分母も増えるから」と説明する。それでは大小は決まらない。 への変形か、差の計算で示す。
  • ③で分母を取り替えるとき()、不等号の向きを逆にする。分母を小さくすれば分数は大きくなる。