数学I / データの分析
偏差の2乗和を最小にする値は平均
問題
個のデータ に対し、 の関数
を考える。 を最小にする は、データの平均 であることを示せ。また、そのときの最小値を分散を用いて表せ。
ヒントを見る
和を展開すると についての 次関数。 を使って整理し、 について平方完成する。頂点の が答え。
解答・解説
方針
を展開すると の 次関数になる。 を使って整理し、平方完成すると頂点の が とわかる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 を の関数とみる。各項が の次だから、 全体も の次関数(下に凸)。
展開すると 。 を代入して について整理する。
を平方完成すると、頂点の が 。だから最小は 。最小値は分散の 倍(分散)になる。
① 展開して の 次関数にする。
を代入して
② 平方完成する。 について、
の係数 より下に凸。よって で最小になる。(前半の証明終)
③ 最小値を分散で表す。 のとき
よって最小値は 。
まとめ:「偏差の 乗和」は基準 の 次関数で、平均 を基準にとったとき最小になる。これが「平均がデータの中心」であることの数式的な意味。最小値が 分散になるのは、分散が「偏差 乗の平均」だから。
発展 — 一歩先へ。 「偏差の乗和を最小にするのは平均」は、最小二乗法の最も簡単な形。データに直線や曲線を当てはめるとき、「残差の乗和を最小にする」のが最小二乗法で、その解が平均・回帰直線を与える。一方、絶対偏差の和 を最小にするのは中央値。「何を最小にするか」で代表値が変わる。
は の 次関数で、平方完成より で最小。最小値は 。証明は解答参照
別解
別解 — 偏差の分解 で示す(得意な人向けの高い視点)。 各偏差を「平均からの偏差」と「平均と のずれ」に分ける。
乗して和をとると
真ん中の項の (平均からの偏差の和は必ず )。だから消えて
第 項 は で 。だから は で最小、最小値は第 項の 分散。
展開して平方完成する本解より、「偏差を平均経由で分解し、交差項が で消える」と見ると、最小値が 分散になる理由が構造として見える。これは統計の「平方和の分解」の原型で、分散分析の基礎だ。
ポイント
- と平方完成 → で最小。
- 最小値 分散。
よくある間違い
- が の次関数(下に凸)であることに気づかず、最小の求め方が分からない。
- 平方完成で の代入を誤り、頂点が にならない。
- 最小値を とする(最小値は 分散)。