入試数学の勉強法と、応用から最難関編への進め方
文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月3日
入試の数学は、定期テストと違って範囲の指定がありません。全単元のどこからでも出ますし、複数の単元を組み合わせた問題も出ます。そのぶん、どの順序で何に時間を使うかを先に決めておくことが大事になります。
まず全単元の★★★(応用)までを埋める
入試標準レベルの問題集を1冊仕上げた状態に相当するのが、「全単元の★★★までがだいたい解ける」状態です。まずはここを目標にしてください。
進め方は「得意な単元を伸ばす」より「穴を埋める」を優先します。入試は合計点で決まるので、得意単元の上積みより、まったく手が出ない単元をなくすほうが期待値が高いからです。模試の結果などから一番不安な単元を選び、その単元の★★から(不安が強ければ★から)始めてください。
1問にかける時間: 15分ルール
応用以上の問題は、まず15分、手を動かしながら考えてください。図を描く、具体的な数値で実験する、文字を置いてみる。この「詰まりながら考える時間」に力が付くので、すぐに解答を見るのはもったいないです。
15分たっても方針が立たないときは、解答を全部読むのではなく、「⓪ 発想」だけを読んで、また自力に戻るのがおすすめです。⓪には「なぜその方針を思いつくのか」だけが書いてあるので、方針を知った状態で計算・論証を自分で完成させる練習になります。それでも詰まったら、そこで初めて解答の続きを読んでください。
答案を書く練習をする
頭の中で「解けた気になる」のは、入試対策では危ない状態です。記述式の入試では、方針が合っていても、論理の飛躍や場合分けの漏れで容赦なく減点されます。
対策として、週に数問でいいので、本番のつもりで答案を最初から最後まで紙に書いてください。書き終えたら当サイトの解答と突き合わせ、「自分の答案に書いていないが、解答には書いてある一文」を探します。それが採点者に伝わっていなかった部分です。とくに、範囲の確認(真数条件・定義域)、場合分けの根拠、逆の確認(十分性)は、抜けやすいところです。
★★★★(難関)から上の使い方
★★★までが仕上がったら、志望校のレベルに応じて上の段階に進みます。
- ★★★★ 難関: 旧帝大・早慶レベルの、単元内で完結する難問です。志望校がこの層なら、頻出単元(微分・積分、確率、数列、ベクトル)から取り組んでください。
- 実戦編: 複数の分野を融合した総合問題です。単元の看板がない状態で道具を選ぶ練習として、総合演習のページから融合パターン別に解くのがおすすめです。
- 最難関編: 東大・京大級です。1問に30分以上かける価値のある問題を置いています。時間を測って、本番と同じ緊張感で使ってください。
どの段階でも、解けなかったときに「⓪ 発想」を読んで考え方を取り込む、という使い方は同じです。難問は解けたかどうかより、「どういう考え方を知ったか」を積み重ねることに意味があります。
過去問との併用
高3の夏以降は勉強の中心を志望校の過去問に切り替えてください。このサイトの役割は「過去問で見つかった穴を、単元に戻って埋める」ことに変わります。過去問で確率漸化式が解けなかったら漸化式と数学的帰納法の★★★と実戦編を解き直す、という使い方です。
過去問とサイトの比率は、目安として2:1くらいです。過去問で穴を見つけ、単元演習でそれを埋める、と役割を分けておくと、時間配分を迷いにくくなります。
別解を読む価値
余裕が出てきたら、解けた問題でも別解を読んでみてください。同じ問題を座標で解くか、ベクトルで解くか、図形の性質で解くか。引き出しが2つある人は、本番で1つ目の方針が詰まったときに切り替えられます。この「切り替えられる」ことが難関大の数学では大きな差になります。
単元ページの記事で「入試での出方」を確認する
各単元には解説記事があり(単元ページのいちばん下にリンクがあります)、「入試での出方」の節で、その単元が入試でどう出るか(単独か、他分野との融合か、どの型がよく出るか)を書いてあります。穴を埋める単元を決めたら、まずこの節を読んで、「この単元は他のどの単元と組み合わさって出るか」を把握してから★★★に入ってください。
たとえば、2次関数は単独では出にくく、三角関数や指数対数を置き換えた形で出ます。確率は漸化式と組み合わさり、微分の考えは積分の面積と一緒に出るのが普通です。こうした組み合わせ方を知っていると、実戦編・最難関編に進んだときに、どの単元の道具を持ち込むかの見当がつきます。
理系の場合: 数学IIIと数学Cを軸にする
理系の入試では数学IIIから大問の半分近くが出る大学も多く、数学IIIの仕上がりが合否を分けます。数学IIIの勉強法に、計算を先に固めてから応用に進む順序をまとめてあります。数学Cの複素数平面と平面上の曲線は数学IIIの微積分と融合して出るので、数学Cの勉強法を参照して、並行して進めてください。
物理を使う人は物理の勉強法に、力学の3本柱の使い分けを軸にした学習順序をまとめてあります。数学と物理は、三角関数・ベクトル・微積分の計算を共有しているので、片方で止まったときにもう片方の単元に戻ることが解決になる場合があります。
記述答案の練習を早めに始める
答案の書き方は入試直前に直そうとしても間に合いません。★★★に入った段階から、週に数問は本番のつもりで答案を書き、記述答案の書き方の5つのチェック(式の前の言葉、場合分けの条件、同値変形の根拠、逆の確認、図の参照)で自分の答案を見直してください。減点されやすい箇所は決まっているので、早い段階で書き方に慣れた人ほど、難問での部分点が安定します。